自殺した和民従業員の労災認定について(「ブラック企業の見分け方?」の続き)

昨日からインターネッツ上で話題になっているこちらの件↓
自殺のワタミ社員、労災認定=「長時間労働のストレス」―神奈川 - WSJ  1日前 - 居酒屋「和民」を展開するワタミフードサービス(東京)の社員だった森美菜さん=当時( 26)=が2008年に自殺したのは、長時間労働によるストレスが原因だったとして、 神奈川労働者災害補償保険審査官が労災適用を認める決定をしていた ... jp.wsj.com/Japan/Companies/node_396605
思うところがあって、「ブラック企業の見分け方?」で書いた内容の延長として、2つの観点から考察してみたいと思います。



■炎上のきっかけと、会社としての対応について
昨日の報道を受け、ワタミ社長の渡邉氏がtweetした以下のコメントがきっかけのようです。
労災認定の件、大変残念です。四年前のこと 昨日のことのように覚えています。彼女の精神的、肉体的負担を仲間皆で減らそうとしていました。労務管理 できていなかったとの認識は、ありません。ただ、彼女の死に対しては、限りなく残念に思っています。会社の存在目的の第一は、社員の幸せだからです 
https://twitter.com/#!/watanabe_miki/status/171926030666309632
このコメントはどんどんretweetされ、それが2chやそこからぶら下がるインターネッツ属性の強いメディアに拡散され、今に至ります。

決してワタミの労務管理体制に対して肩を持つ訳ではないのですが、普通、一部上場の社長がこんな自ら墓穴を掘るような真似はしません。本来であれば、状況を把握の上、顧問弁護士に意見を求める等の対応が終わるまでは、例えば「報道内容に関する事実関係を確認中」等とお茶を濁すパターンだと思うのですが。

まず、ワタミ社の広報部門は悔やんでも悔やみきれないでしょう。後ほどプレスリリース(PDF注意)も出していますが、上記のtweet同様、見事にインターネッツへ晒されており、中の人が「あのtweetさえ無ければ・・・」と歯軋りしている様が目に浮かびます。

労災認定されると、それをきっかけとして損害賠償請求訴訟や刑事責任を問われる可能性も生じる※ため、そちらばかりに気が行ってしまい、いわゆるレピュテーションリスクへの配慮が置き去りになってしまったように思えます。

※wikipediaの「労働災害」に記載の内容を参考にしています。


社長がtwitterで直に情報発信するような会社だったら、こちらの日本コカコーラ社の様にソーシャルメディア・ガイドラインくらいは整備の上周知徹底しておかないとよろしくない訳で、今回の事案は社長自らがリスクを顕在化させてしまっているところが何とも象徴的ではあります。

今回の件も含め、組織として誰も社長の方針や行為を止められない企業体質そのものが、最大のリスクなのかもしれません。



■長時間労働と精神疾患の因果関係について
上記に引用した記事には、亡くなられた女性の残業時間は月100時間を超えたと記載されています。
代理人弁護士によると、森さんは同年4月に入社、神奈川県横須賀市内の和民に配属された。5〜7日間連続の深夜勤務など長時間労働で、時間外労働は月100時間を超えた。入社約2カ月後の同年6月、自宅近くのマンションから飛び降り自殺した。
審査官は決定書で「業務による心理的負荷が主因となって精神障害が発症した」と認定した。

上記のお話と前後して、数日前にweb上でこんな記事を見かけました。
報酬や待遇に関係なく長時間労働はうつ病のリスクを高めます - ライフハッカー
自分も「ブラック企業の見分け方?」にも[■体が資本]のところに同等の内容で記載をしており、計らずしも一定の裏が取れてしまいました。

何故に自分が長時間労働と睡眠不足にこだわるかと言いますと、「今年の抱負(blog投稿予定など)」にちらりと書いているように、自分の嫁さんが恐らく睡眠不足がトリガーになってうつ病になったのを真近で見ていたからなのです。

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当時嫁さんはキャリアアップを狙って専門学校に通っていました。子供はようやく離乳食が終わるくらいの歳で、当初は保育園に預かってもらいながら何とか学校通いをしていましたが、進級前後で実習や課題が増加し、自宅でかなり量をこなさないと先に進めない状態になりました。

自分もそれなりに家事等の支援をしたのですが平日日中は仕事に出ている事もあってフォロー出来る範囲に限界が有り、ほどなく嫁さんは睡眠時間が2−3時間しか取れない状態に突入しました。
それでも当初1ヶ月は「気力と根性」で何とかこなしていたのですが、2ヶ月を過ぎる頃には目に見えて感情の起伏が激しくなり、3ヶ月が経った頃、突然「頭が真っ白になってしまい、レポートがまったく書けない」と号泣したのでした。
今思えば、このときには既に「抑うつ状態」に陥っていたのです。

その後嫁さんは嫁さん自身を責め、幾度となく「希死念慮」に悩まされ、その後8年を経過した今でも闘病生活を続けています。

自分は「嫁さんが自分で選んだ道だから」と口を出さず、辛そうな時も手助けはするものの精神的には自分で克服するしかないだろうと考え、ある意味突き放したスタンスでいたため、先の「頭が真っ白になってしまい、レポートが全然書けない」と号泣されるまで、うつ病が進んでしまっていた事にまったく気付く事が出来ませんでした(嫁さんのうつ病については、別途「ワークライフバランス」をテーマに投稿をする予定です)。

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自分が真近に見たのは嫁さんだけなので、必ずしも他のうつ病の方にも当てはまるとは言えないのですが、おそらくうつ病はある日突然発症するのではなく、じわじわと精神を蝕むように進むのではないかと考えられます。
そうだとすると、よほど注意深く見ていないと周囲の人間が変化に気付く事が出来ず、気付いた時には一定以上症状が進んでしまっており、元の状態に戻るまで大変苦労するなんていう事態が起こりえると思うのです。

亡くなられた女性の方も、ひょっとすると同じような過程をたどったのではないかと思うと、とても胸が痛みます。

最近では企業においても、メンタルヘルス対策・過重労働対策をしているところが殆ど※と思われますが、正直「仏作って魂入れず」にみえてなりません。
ワタミもやってるんですが・・・

なので、残念ながら自分たちが出来る事は、自分を取り囲む制度や環境を鵜呑みにせず、自分の判断で自分の身を守る事くらいしか無い事を念頭に置き、具合が悪いときには手遅れになる前にお休みを取り、十分な睡眠時間を確保するよう心がけましょう。


ここまでご覧頂き、有り難うございます。
当エントリを含め、これまでの転職履歴で得た経験から、仕事に向かい合う為に必要なテクニックや、メンタリティ・思いを抽出し、「お仕事サバイバル」のページにまとめました。
また、「お仕事サバイバル」のネタ元となる、就職からアラフォーの現在に至るまでの8回に渡る転職履歴について、「転職履歴」のページにまとめています。 
それぞれ、あわせてご覧頂けますと幸いです。

4 件のコメント :

  1. こんにちは。はじめて訪問させていただきました。
    私もアラフォーです。夢を追いかけている小さな子持ちのママです。

    記事を拝見したら、奥様が出産後に体調を崩されたそうですね。
    実は、私も子どもが4~5ヶ月の時に自身の教員採用試験や教育実習のために無理をして、すっかり精神的に参ってしまい、心療内科に通ってしまったことがあります。
    私の場合は、軽症でその後、特に通院しなくてもだんだんと乗り越えることができましたが、奥様のお話がとても人事のように思えませんでした。
    その時の様子をブログに載せているので、もし良かったらブログをご覧ください。
    以下のページの③④あたりにその記事が書いてあります。
    http://ameblo.jp/kirin0819/entry-11170170931.html
    私も、ここ3年くらい睡眠時間は3時間前後で、家事や育児や仕事や勉強をしています。
    マジメで完ぺき主義でよく言えば上昇志向ですが、すぐに無理をしすぎてしまうので、『ほどほど…』をわきまえた方がよいのでしょうね。

    本人の性格や環境も影響するのでしょうけれど、社会全体もワークライフバランスを守れるような仕組みづくりが必要だと感じています。

    around40-ojisanさんの挑戦も応援しています。
    アラフォー同士頑張りましょう

    ドキリとしたので、思わずコメントしてしまいました。
    奥様の回復をお祈りします。

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  2. このコメントはブログの管理者によって削除されました。

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  3. ぱぱらっち さん
    コメント有り難うございます。リンク先拝見しました。嫁と境遇が似ていらっしゃる事に、自分もびっくりしました・・・今は既に吹っ切れてらっしゃる様で何よりです。

    目標に向かって突っ走るということはマラソンと一緒で、例えばうちの嫁のように序盤で余り飛ばしすぎるとゴールまでに力つきてしまう事もあるんだろうとおもいます。それでも嫁はまだあきらめておらず、まずは仕事に復帰出来るところから始めようと話をしています。

    ぱぱらっちさんが、自分自身が見据えるゴールまで無事走り切られる事を、陰ながら応援しています。
    また気が向いたら、こちらのページを覗きに来てください。

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  4. ぱぱらっちさんへ
    すいません、2件投稿頂いたようなのですが、内容が被っていた為、1件削除させて頂いております。

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