ブラック企業の見分け方?

※こちらの投稿の続きを自殺した和民従業員の労災認定について(「ブラック企業の見分け方?」の続き)に書きましたので、宜しければ合わせてご覧ください。

今回の投稿は「ブラック企業の見分け方」でタイトルが始まってますが、はじめからぶっちゃけますと、ブラック企業を正確に見分ける方法があれば、普通の人間だったらそんな会社と知って勤める訳が無い訳で、結論を先に書いてしまうと「そんな気の利いた話はありません」という切ない結果となってしまいます。

しかしそれではこの投稿も話が終わってしまうので、自分なりにブラック企業の見分け方について、考えてみました。


■ブラック企業って、どんな会社の事?

まず、例のごとくgoogle先生に、「ブラック企業」をキーワードにどんな情報が引っかかってくるか聞いてみました。


これを見ると蒼々たる上場企業が含まれてます。上場企業で含まれていない業種は海運、石油・石炭、電気・ガス、鉄鋼、非鉄金属、ゴム産業、ガラス・窯業くらいでしょうか。実に3/4の業種はブラック企業が含まれていることになってしまっています。

ちょっと横道にそれますが、それぞれの業種における年収ランキングがありましたので、参考までに転載します。


年収の低い業界ほど労働集約型産業に見えるのは気のせいでしょうか・・・?
また、Web上では纏まった情報を探し出す事が出来なかったのですが、社員一人当たりの営業利益をあわせてみると、「あの会社は社員一人あたり5000万近くの利益が出てるのに、平均給与は低い」、「この会社は社員一人あたり1000万弱しか利益が出ていないので、給与水準も高くないだろう」等の傾向が把握出来ます。

2012/02/10追記:
この投稿のすぐ後で、ダイヤモンド社の記事に従業員一人あたまの稼ぎを観点に会社を評価しているお話が掲載されていたので、あわせてご参考にして頂ければと。
→ 従業員1人あたりの売上高で読み解く真の優良企業 大手だけでなく「生産性が高い中堅企業」も視野に!

ここまでざっと調べてみて思った事は、以下2点。

  1. 労働集約型の業界は、企業予算においても人件費が占める割合が多いため、他業界に比べ個別従業員のパフォーマンスが収益向上に直接貢献する可能性が高いと思われる。その為に会社はマニュアル化や業務効率向上に頭を捻り、ノウハウを蓄積して行くが、一番頭を使わないで済むやり方が、安価な給料で従業員を雇って使い倒す事。
  2. かといって、労働集約型ではない企業がこれに当てはまらない訳ではなく、例えば業界として資本集約型であったとしても、単純労働の色合いが強いセクションにおいては、労働集約型の業界と同じ傾向と思われる。

ということで、「単純労働」以外の価値を提供出来る能力を持つ事が、ブラック企業に当たってしまわない為に出来る事の一つになり得るでしょう。

この辺りのお話は、前回投稿の「あなたは自分をIT土方と思いますか?「King of IT土方」になりたくない人へ【加筆修正有り】」でも同じような内容を書いており、「誰にでも出来る簡単なお仕事」「未経験者歓迎」などの売り文句で求人している企業は、どうしてもブラック企業の確率が高くなってしまうのではないでしょうか。

しかし、教育は最大の投資とは良く言ったものです。こちら「図表で見る教育2009」は国を単位としたスケールの大きなお話では有りますが、個人としてみても少なからず同じ事が言えると思います。
以下に、リンク先の説明文を引用します。

2009年版「図表でみる教育」は、経済危機に世界中が注目する中で刊行されることとなった。2007年までのデータに基づくため、今年版のデータによって経済危機の教育制度への影響を分析することはできませんが、掲載されている指標から、人的資本への投資がいかに経済回復に寄与できるかについて洞察することが可能です。
2009年版の新しい特徴は、教育の経済的効果に加えて社会的効果の指標の追加、若者の長期失業や非自発的パートタイム労働についての新しいデータの追加、教員給与、授業時間、学級規模等の異なる要素間の資源配分についての分析、教員の評価やフィードバックについての分析、PISA調査における得点が高かった生徒についての分析などです。


■ブラック企業労働集約型なのか?

では、「労働集約型」の仕事でなく、かつ自身が「単純労働」に携わっていなければ、ブラック企業を避ける事が出来るのでしょうか?いえいえそんな事は有りません。会社も生き物ですので、「以前は大変アットホームな会社だったのに、大株主が変わった瞬間に180度方針が変わって死にそう」とか、「配置転換されたら行った先がブラック度満点でした」なんて話は十分にありえる事です。

結局のところ、「明確な見分け方はありません」と言う、初めに書いた切ない落ちに戻ってしまうのですが、そんな中でも今までの経験で感じた事を以下に纏めます。

■知人の紹介や縁故での採用、転職を検討する
自分は、結局のところこれが最強のリスクヘッジだと思います。
職場で働いている人、または関わりがある人から直接様子を聞くのが、最もその会社の実情を入手し易いですし、また紹介する側も、話がうまく進まなければ紹介者自身にも責任が及ぶ訳で、軽はずみに話を振る可能性も低いでしょう。

しかし知人・縁故の人とどのような関係性を持つかで確度も変わってきますので、「知人の知人のそのまた知人」あたりまで行ってしまうと、何の保証も無いと思った方が良いでしょう。

当然、紹介や縁故で採用、転職となると、紹介者の顔を潰してはいかんという気持ちからプレッシャーもかかりますが、その分はずれを引く可能性が減る事を考えれば、自分だったら紹介者の顔を立てられるようがんばる方向にメンタリティを持って行くよう努力しますね。

■体が資本
もし不幸にもブラック企業、またはブラックなセクションにハマってしまった場合は、まず自分の体を最優先に考えるべきです。

「自分が周囲の期待通りに仕事を進められない事で、他の社員や取引先に迷惑をかけてしまう」と言う思いから、取り返しのつかないところまで自分を追い込んでしまう話をWeb上で目にしますが、本来他の社員や取引先に迷惑をかけてしまったとしても、その責任は個人にあるのではなく、そんな状態で仕事をさせておいて何のフォローもしない企業やセクションに責任があるのです。
また、仮に迷惑をかける事態が生じたとして、そのダメージはどの程度なのか、自分の体調をかけてまで守るべき事なのかを、冷静に考えてみてください。

自分の体への負担と言う観点では、睡眠不足が一番ダメージが大きいと考えられます。自分の経験では、どんなに過酷な仕事でも、ある程度寝る時間が確保出来ていれば何とかなるのですが、寝る時間がまともに確保出来ないと、頭が回らず仕事も進まず体も重くなる等ひとつもいい事がありません。

個人的には、通常業務において残業が実働で100時間を超える月が3ヶ月以上続いても、人員の追加投入や業務量の調整等のフォローがまったく行われず、さぞその状態が当たり前だというような会社は、自分的にほぼブラック企業認定です。またそのような状態で仕事をしていると、まともに睡眠時間をとる事が出来ないでしょう。
そんな状態で仕事を続け、会社を喜ばして自分が体調を崩しても、自分自身には何の良い事も有りません。それこそ脳溢血や重度のうつ病等になってしまった日には、一生を棒に振りかねません。

これは前述の「単純労働」に該当するか否かは関係なく、どんな仕事をしていたとしても、このような状況に陥れば結果は同じことになってしまいます。

但し、起業や新規事業の立ち上げに関わっていたり、外資系コンサルタント等の仕事に携わっているという事であれば、初めから組織としてのフォローアップが期待出来ない事が十分に考えられます。こういったケースではいくら時間があっても足りない事があらかじめ前提と成っている事がほとんどで有り、また見返りも相応に期待出来る事から、当事者もそのような業務状態となる事を覚悟していると考えられるからです。


ここまでご覧頂き、有り難うございます。
当エントリを含め、これまでの転職履歴で得た経験から、仕事に向かい合う為に必要なテクニックや、メンタリティ・思いを抽出し、「お仕事サバイバル」のページにまとめました。
また、「お仕事サバイバル」のネタ元となる、就職からアラフォーの現在に至るまでの8回に渡る転職履歴について、「転職履歴」のページにまとめています。 
それぞれ、あわせてご覧頂けますと幸いです。