前向きな理由での転職なんてあるの?面接のプロセスと採用側の本音

前回投稿からまる一週間空いてしまいましたが、今回はblogタイトルに沿った投稿を。

自分は8度も転職をしている訳ですが、その一方で、今までの勤め先のうち2社で現場側の責任者として中途採用者の面談を担当していた事もありますので、その時に思った事を書いてみたいと思います。
担当したのはIT関係のエンジニア採用のみですが、他の職種でも参考なる部分もあるかと思います。


■中途採用者を募集する側の思惑

中途採用者の募集をかける場合は、大概以下のパターンのいずれかと思われます。

  1. 退職者の穴埋め
  2. 業務の増加
  3. 新規事業の開始

1.2.は人手が足りず現場がひーひー言っているところでの募集で有る事から、採用をしくじったら自分たちの首が絞まる事になり、また3.にしてもその事業に気合いが入れば入るほどに、採用もシビアになります。
よって、いずれのパターンでも採用者に求めるスキルや経歴などの要求レベルは予め固まっており、そこにハマるひとでないと応募側、採用側共に不幸な事になってしまいます。

なので、書類選考の段階で「あぁこの経歴だと今回の枠にはハマらなそうだ」と言う方からの応募は、容赦なく不採用としていました。


ちなみにスキルや経歴がハイスペックだったら何でもハマるという訳ではありません。こちらが望むより高いスペックの方は、大概採用者が望むポジションや給与等の待遇がマッチしない事が殆どであり、また仮にそれらがクリアされたとしても、就業後にトラブルになる事が多いからです。

例えば、本来であればマネージャクラスのスキルがある人材が一つ下の階層となるリーダー枠で採用となった場合、採用者と同程度か、下手をすれば採用者よりスキルの低い人間に仕えなければならない状態となるわけで、そのような事になれば、採用する側される側共に、いろいろシンドイのではないかと。

このような摩擦を敢えて良しとして意図的に採用する事もあると思いますが、上記のような事態を予め見越した上での人事計画(予め、採用者の為にチームを割る、下克上も想定しておく等)を立てておかないと、なかなか思惑通りには事が進まないものです。



■面接の流れと分かる事

書類選考が終わると、次は面接になります。
自分が面接を担当していた時は、まず現場責任者となる自分達が現場観点で一次選考をし、続いて執行役員が待遇やポジションを借り決めする二次面接、最後に社長が最終面接を行い、それぞれの選考に1週間前後という流れでした。

一時面接は概ね以下の内容を確認する形で進めていました。

  1. 互いの簡単な自己紹介
  2. 採用希望者からの職務経歴書の説明とQA
  3. 当方からの業務内容、および福利厚生等の概要説明とQA

以下に個別のポイントを列挙します。

1.互いの簡単な自己紹介

まずはここで第一印象が決まります。大概在職中の会社の名刺交換から始り、その後お互いの簡単なプロフィールを話すのですが、相手がどのようなスタンスで面接に臨んでいるか、この時の会話のやり取りで不思議と伝わるものなのです。
なお、採用希望者だけではなく、面接担当者となる当方のスタンスも伝わっている前提でその後のお話を進めて行きます。

採用希望者が名刺交換を望まない場合を除きます。

2.採用希望者からの職務経歴書の説明とQA

続いて、提出された職務経歴書を元に、採用希望者に今までの職務内容を簡単にプレゼンしてもらっていました。

職務経歴を大幅に盛っている人は、このプレゼン段階で大概粗が出ます。そのような人は経歴書に書いてある事を平坦に読み上げる事しか出来ず、その後のQAで少し突っ込むとクリアな回答が出来ない事が多かったです。

逆に挙動不審に見えるくらいに緊張していたとしても、自分の手で仕事を積み上げて来た人たちは、たとえ話し方がへたくそだったとしても職務経歴書を元により奥深く自分の仕事を語る事が出来ていたと記憶しています。

また、個別の職務内容について、チームで仕事をしていたのか、その時のチームの規模とポジション、レポートラインや、どのようなスタンスで臨んでいたかをそれとなく聞く事で、その職務を遂行していた職場環境もある程度推測出来ます。

技術的なお話であれば、開発者の場合はアプリケーションアーキテクチャや業務利用しているフレームワーク/ミドルウェアのAPIについて質問し、インフラ系技術者であればシステム規模やその前提となるH/W、OS、Network等のテクノロジー、およびキャパシティプランニングや運用設計に関する質問をしていました。

仮に社内で用いているミドルウェアに対する経験がなくとも、類似するミドルウェアの経験があれば、ある程度採用希望者自身の経験に置き換えて回答する方も居れば、同じミドルウェアを利用中でも、ふたを開けてみたらベンダーの営業マン程度の上っ面しか知らなかった方も。当時、書類だけでは分からんもんだとしみじみ思ったものです。

3.当方からの業務内容、および福利厚生等の概要説明とQA

上記の内容を説明すると同時に、採用希望者の希望年収を確認していました。希望通りの年収となるかどうかは、一次面接のフィードバックを元に執行役員が判断するのですが、前職給与と面接時の希望年収の差異が大きければ大きいほど、現状の待遇に不満を覚えていると認識していました。
最後にSPIテストを受けてもらい、面接終了としていました。なお、SPIテストの結果はあくまで参考値として、主に面接の際の印象の裏付けや、極端な結果の偏りが無いか等の確認に用いており、よほどの事が無い限りSPIテストの結果から不採用とする事はありませんでした。


■知りたいのはスキルの内訳と、組織との相性

このような形で現場面接を進めていた訳ですが、面接担当者として一番知りたい事は、良く言われるスキルセットは当然といえども、むしろ冒頭で述べた会社にハマってくれるのか、はたまたハマれなさそうなのかというところなのです。
そういった意味では、採用希望者には後ろ向きな理由であったとしても、面接担当者は転職理由はある程度クリアに話をしてもらいたいと考えているものなのです。

採用希望者が現職の転職理由として挙げている要因が、転職先となる会社にも存在すれば、仮に採用となっても短期間で再度転職となるケースも多々有り、そのような事になれば面接担当者・採用希望者共に、お互い時間の浪費となってしまいます。
また、採用希望者がそれを隠そうとしても、上記の面接プロセスを見れば分かる様に、大概は事実が漏れ伝わってしまうものなのです。

まぁそうは言っても、採用担当者のから出る言葉が現職の悪口ばかりだったりするのはよろしくないのですが(そのような人は仮に採用となった場合も、採用後に同じ事をしやしまいかと疑ってしまいます)。

後ろ向きな理由はそのままに、それを転職後に前向きなアウトプットに転換する力が片鱗でも見えれば、よほどアホな面接担当者でない限りはきちんと目に留めてくれるはずです。

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