SIerオワコン説について思う事

最近Webで「これからSIerは非常に厳しい」とか「SIerはオワコン」みたいな話をよく見かけるようになりました。
最近だとこの辺りが話題になりましたね。

http://devlove.doorkeeper.jp/events/1733
SIエンジニアの自分戦略 -急がば回れ、選ぶなら近道- - DevLOVE

しかしながら、自分から見るとどれも一面的に見えるんです。書かれている事はあながち間違ってはいないのでしょうが、それはSIerだけがそうなのか?実はITサービス業全般がそうではないのか?と思ったので、ちょっと異なる確度から考えてみようかと。


■そもそもSIerとは?

またしてもwikipediaからの引用となりますが、よく纏まっているので以下に引用します。
日本の情報システムにおけるシステムインテグレーターとは、情報システムの開発において、コンサルティングから設計開発、運用・保守管理までを一括請負する情報通信企業である。

概説 [編集]

情報システムにおける元々のシステム・インテグレーターは、複数のベンダから汎用のパッケージソフトウェアやハードウェアなどの完成品を購入して、1つのシステムとして矛盾なく、効果が出るように組み立て、統合する事業に特化した企業のことを言う[1][2]。あえて説明すれば水平分業的である。付加価値再販業者を名乗ることもある。
日本におけるシステムインテグレーターはアウトソーシングの一環として流行った業態である。システム開発を、システムのオーナーとなる会社(クライアント)から一括請負して、完成までの責任を負う主契約の相手(プライム)になる。プライムは個々の作業を副契約の会社(サブコントラクター、サブコン)に発注する[3]
日本において、システムインテグレーターはパッケージソフトウェアやSaaSの販売、アプリケーションサービスプロバイダなどを行う場合もあるが、カスタムメイドの受託開発が圧倒的に多い[4]。つまり下請け(協力会社)を組み合わせて1から作るのが、日本のシステムインテグレーターである。あえて説明すれば垂直統合的である。
システムインテグレーターの隆盛は、日本特有の現象である(後述)。ITゼネコンの問題もある。

日本のソリューションプロバイダ(インフラ構築と機器販売を含む)の売上高トップ10(2008年調査:上場企業のみ)

順位 会社名
1 NTTデータ(ユーザー系)
2 キヤノンマーケティングジャパン(メーカー系)
3 大塚商会(独立系)
4 野村総合研究所(ユーザー系)
5 ITホールディングス(独立系)
6 日本ユニシス(メーカー系)
7 伊藤忠テクノソリューションズ(ユーザー系)
8 リコー販売(メーカー系)
9 NTTコムウェア(ユーザー系
10 東芝ソリューション(メーカー系)

システムインテグレーター:wikipediaより抜粋

まぁいろんな会社があるわけですが、一ついえる事は、SI等のサービスを買う方から見ると、少ない投資コストで多くの見返りがあれば、どんなSI会社が手がけようが、どんなテクノロジーを使おうが構わないのです。

無論投資金額や業務上の重要度が上がれば、質や信頼関係なども重要視されますが、皮肉な事に、テクノロジーの進化に従いその敷居はどんどん低くなっています。
今では大塚商会の様な元OA機器屋がコピー機を売るノリで案件をこなし、その結果外資系ベンダーから優良リセラーとして表彰され、また多くの人が知るように、メールやグループウェア、会計系のパッケージの類いは、クラウドにより数日で導入が完了してしまうのが当たり前のような世界になりました。

上場しているような規模のSIerでないと手がけられないような大型案件も依然として存在はするものの、Windowsが企業サーバとして一定の地位を確立した頃に多数存在した、イニシャルでMax1億程度の案件は、内容が特殊なものでない限り軒並みインスタント化・低価格化しているものと思われます。


■SIerは今後厳しいのか?

上記から考えれば、SIerの前途は厳しいんでしょうね。それはおそらく間違いないんでしょうが、ではSIer以外のIT業界って、厳しくないんでしたっけ?いやいや決してそんな事は無いと思いますよ。

例えば、某ソーシャルゲーム関連の会社さん等は、以前「GREE・DeNA等のソーシャルゲーム業界への当局規制(コンプガチャ)についての雑感」書いたような問題もあり、一時の飛ぶ鳥を落とす勢いは衰えつつも、いまのところこの巨頭2社の業績はそれほど悪く無さそうです。

しかし、この先3年・5年・10年のスパンで見た時、果たしてSIerとどっちが生き残っている確率が高いのかと考えると、ガラゲーからスマートフォンへの技術的な転換が進む一方で、競合が多数ひしめく中、売れ筋のゲームを生み出し続けないと喰っていけないソーシャルゲーム関連の事業構造の脆弱性に気づくのではないでしょうか。

例えばちょっと前にウノウの買収で話題になったzyngaも、あっという間に日本を撤退する事になってしまいましたし...。


■せめてコンピュータに「使われる」立場から脱出しよう

今回はSIerを話題にあげましたが、正直このご時世で楽に喰える商売などそうそうありません。そんな会社があれば大人気になっているでしょう。
なので、そんな中SIerがオワコンだなんだといっても何も好転しないと思うのです。

自分は、SIerに居ようが、他のシステムに関わる会社に居ようが、エンジニアとして仕事に打ち込める鍵になるのは「コンピュータを使う立場になるか、または使われる立場になるか」だと考えます。

これを説明するにはちょっと投稿が長くなってしまいそうなので、いわゆる「ISO9001」や「ISO27001」などのマネジメントシステムを例に、別エントリで説明します。