金融リテール営業の悲劇と10年後の未来

twitterでフォローさせて頂いている方のtweetで、興味深いblogを見つけました。
で、このリンクから見に行った先がこちら↓
http://blog.livedoor.jp/amemiyablog/

まだ全てに目を通す事は出来ていないのですが、ざっと見た感想は「金融リテール営業の世界は、まだこんな絶滅危惧種的な職場なのか?!」。


■金融リテールの世界は今も昔も変わらない?!

自分も今までの転職先で元金融リテール営業だった同僚が複数おり、飲んだ時に数々の伝説を聞いて来ました。
  • 新卒で入った先の証券会社で、配属先の支店長から開口一番「俺は花咲か爺さんのじいさんで、お前らは「ポチ」や。お前らは俺の為に大判小判を嗅ぎ付けてこいや!死んで灰になっても会社に貢献するんや!」とかまされドン引き。
  • 新卒で入った先の先物の会社で、いきなり山奥の研修所に3ヶ月軟禁され、朝6時から夜0時までビッチリ予定が入った地獄の研修。研修が終わって支店に配属されれば、電話の受話器を手にガムテープで括りつけられ、最低ノルマ1日100件のアウトバウンド営業
  • 客のポジションをちら見しながら自分で相対ポジションを立てて小遣い稼ぎし、半年で外車を購入
  • 営業トップはタクシー通勤&経費じゃぶじゃぶでも余裕で決裁が下りる。儲けてさえいれば何でもあり
酷い話ではありますが、これは全て証取法(現金商法)が強化された15年以上前の話で、さすがに3番目の話などは、今やると確実にお縄ちょうだいとなりますね。

しかし今でも金融業界は、弱肉強食・勝てば官軍の世界である事には変わらず、blogを書かれた方には同情の念を禁じ得ません。


■顧客を舐めきったビジネスの前提

それにしても、このblogの内容を見て一番腹が立ったのは、blogを書かれた方を含め、こんな呆れたビジネスをしている人たちの給料が、彼らの顧客から捻出されている事で。
もうね、「もの売るってレベルじゃねーぞ」という言葉を捧げたい、まじで。
こんな事だから、ネット証券に個人売買シェアをがっぽり持っていかれ、旧来のビジネスしか出来ない証券会社はジリ貧になるのです。

既に中小の証券は整理統合が始まっており、東証アローヘッド導入により自己売買部門で稼ぎづらくなり、更にその勢いが加速しているそうで。また、野村・日興・大和の3代証券も軒並み減収という状況で、こんな焼き畑式のビジネスでカネ持ってる人たちに悪印象与えてどうするんでしょうか。

また、金商法改正後、銀行も「証券仲介業」という名の下、リスクの高い外貨預金や投信の窓販を始めて久しいですが、webやtwitterで現場に携わっている方のコメントを見ていると、程度の差こそあれ同様の問題が横たわっている様に感じられます。


■10年後にはビジネスにならない?

こんな現状が放置されて良い訳が無く、今後なんらかの形で当局の締め上げが入る事が想定されます。また、先にも挙げたようにリテール向けのビジネスを主としている証券会社の整理統合は既に始まっており、このまま顧客を育てる事無く焼き畑式でビジネスを続けていれば、お先真っ暗ではないかと。

顧客だってバカではありません。PCとインターネットの普及率が7割を超えてから10年がたちましたが、この間に顧客側も様々な情報を入手する事が出来るようになり、相応に知恵をつけています。
今から10年後には、彼らがビジネスの相手にしたいと考えている人たちは、スマートフォンやタブレットデバイスを当たり前のように使いこなし、必要とする情報を手のひらで入手出来る事を学んでいると考えられます。おそらく、今と同様の手口で釣られてしまう顧客はほんの一握りになっている事でしょう

セクターは異なりますが、2000年に日本でサイトオープンしてから12年で、もはや生活必需サイトとも言える存在になった、Amazon.comの社長さんのコメントには大変共感を覚えました。
焼き畑式ビジネスに費やすリソースがあったら、5年後・10年後を見てお客さんに望まれるサービスに割り当てたらどんなに良い事かと思わずにいられません。

追記:
日経にこんな記事が↓

これに絡んでフォローさせて頂いている方のtweetでこんなコメントががが。
毎月分配型のファンド自体、元々記事に記載されていたように運用成績が悪ければ元本を取り崩して蛸配当を行う商品設計である事から、従前からその問題点を指摘されてましたが、それにしてもtweetの記載の「可能性」が事実であれば、どんだけ無理やりおしこんでるんだっちゅーの...> 販社