リストラ要員の条件

今回はリストラ要員の条件について考察します。
自分は周囲で2度のリストラが行われた事を見てきました。幸い両方とも自分自身が対象になる事はありませんでしたが、それぞれリストラする側、される側の両方の立場に近いところで事が進むのを見ていますので、それぞれの観点で考えてみたいと思います。

自分は今まで給与遅配や倒産で意図せずそれまでの職場を離れざるを得ない事態に陥った事はありましたが、いわゆるリストラ対象になったことはありませんでした。


■リストラには理由がある

一般的には、会社の稼ぎが減りこのままでは会社として喰っていけないからとか、自社のコアコンピタンスから遠く外れる領域にお金かけんのがもったいないだとか・・・というような理由がきっかけになる事が多いでしょう。まれに会社として儲かってても、マクドナルドの様に不採算店舗を閉めてより稼ぎを増やすという「本来の意味合いに近いリストラクチャリング((自社ビジネスの)再構築)」というパターンもありますね。

いずれにせよ、リストラクチャリングの本質は「経営資源の再配分」であり、ヒト・モノ・カネを如何に有効に機能させて会社の稼ぎに繋げるかというお話が出発点になります。よって、どんな「経営資源の再配分」をするかで、リストラ候補者も変わってきます。


■リストラの分類
リストラは大きく2パターンに分類出来ます。

・部門単位

複数事業を営んでいる会社では、このパターンが多いのではないかと。実態として、稼げない事業部門を解体し、所属していた従業員を移動、解雇する、又は部門ごと他社に売却する等が考えられます。最近では家電等の製造業で、このようなケースでのリストラがニュースになっていますね。自分が「はじめてのリストラ」で書いた1回目のリストラは、対象が合併後の営業部門のみであり、こちらのケースに相当します。

・全部署対象

これはいわゆる「聖域なきリストラ」と言われるものです。特に収益となる事業が単体しか無い会社では、会社全体の稼ぎが足りなければ全社的にスリム化しないと喰っていけませんという事になります。よって、こちらのケースでは間接部門も含め、全社的に人員の削減や設備・拠点の統合等が遭わせて実施される事が多いです。自分が「2回目のリストラ、そして40歳を前にして」で書いた2回目のリストラは、ほぼ全ての部門が対象とされていました。

これらの方法のどちらが選択されるかは、「経営判断」で為される事となります。例えば特定部門が不採算で、明らかに会社全体の足を引っ張っていたとしても、経営側が将来的に有望で有りまだその芽を潰したくないと判断すれば、業態は変えずに組織全体をスリム化するという選択肢もあるわけです。
この時どのような心境で選択を行ったかを、トロッコ問題に例えて考えてみると、経営判断のスタンスが分かり易くなるでしょう。

先のように、明らかにもう駄目だろうという事業があるのに、それを捨てきれずに全体スリム化に走ったりする場合は、こちらに記載される内容で例えれば、自らトロッコの進路を変える事に躊躇して、多くの死人を出してしまう事と同類の選択をしている可能性があると言えます。


■リストラ要員となってしまった場合の心構え

リストラがいくら「会社が生き残る為のやむを得ない手段・経営判断」であり、会社からの説明も論理的に同意出来る内容であったとしても、自分自身がその犠牲になってしまうのは到底納得出来るものではありません。しかし一度「リストラ要員」のレッテルが貼られてしまうと、それを覆すのは容易ではないでしょう。

メディアで労働組合や労務局への相談、はては民事訴訟まで至るケースが取り上げられているところを目にしますが、そこまでして会社と戦い仮に勝ったとして、その後同じ職場で気持ちよく仕事をする事が出来るでしょうか?
ググってみたところ、こちらに分かり易い流れが掲載されていました。しかしこれを見て掛かる手間ひまを考えると、それだけで目眩がします。

通常リストラ対象者が公にされる事はまず無いとは思いますが、個人的な経験では、大概は噂が社内に広まってしまい、対象者は肩身の狭い思いをする事が多い様に見受けられます。そう考えると、会社と真っ向勝負を挑むのは最終手段と考えておいた方が賢いでしょう。

仮に自分が「リストラ要員」として吊るし上げられてしまった場合どのようにしたら良いのかを、上記の分類別に考えてみました。ご参考になれば幸いです。

・部門単位

部門単位でのリストラは、全部署単位に比べればまだマシです。何故なら、リストラという行為が個人の評価と直結している可能性が低いと考えられる為です。

例えば、リストラ対象部門に所属するスタッフがどんなに優秀だったとしても、会社のマーケティング力が弱いだとか、事業参入が後発だった為に芽が出ない等、その部署だけではどうにもならない事が要因である事も考えられます。
そのようなケースに該当する場合は、下手に配置転換等に応じて自分のキャリアが積み直しになるくらいだったら、今の会社に拘らずフィールドを変えた方が、結果的にリストラ対象者が幸せになれる可能性が残されているでしょう。

リストラ対象部門の買収を伴うようなケースも基本的な考え方は同じですが、買収先企業が欲しいものが、対象部門が持つスタッフや技術ノウハウ等ではなく、顧客やマーケットだけが欲しくて後は要りませんなんていう話になると、行った先で再リストラ等悲惨な目に遭う事も考えられます。
なので、買収先の企業がどんなポリシーで商売をしているのか、社長はどんなキャラクターか等を、可能な限りよく吟味する必要があるでしょう。

自分が「はじめてのリストラ」で書いた1回目のリストラは、対象が合併後の営業部門でしたが、当時から「俺はひかりが丘団地にマウス2000個持ってって、主婦相手に1日で売り切れるよ(笑)」と言い放っていた同僚は、別の会社で未だ相変わらずの勢いで元気に営業をやってます。Facebook等から他のメンバーもそれなりに喰っていっている様子が伺えました。

・全部署単位

こちらは・・・「貴方はうちの会社に要りません」と個人単位ではっきり宣言されるのとほぼ同義なので、部門単位のリストラに比べるとかなりダメージがでかいですね・・・

また、どんなに仕事が出来ても、上長との相性等で不幸にも候補に挙げられてしまう人もいるでしょう。自分自身と周りの環境を冷静に考え、仕事のフィールドを変える事で自らのパフォーマンスを上げる事が出来ると考えるのであれば、自らの力で転職先を探すのが、今の居場所にこだわるより幸福になれると思います。
しかしながら、このような事態にリストラ候補に挙がってしまうような人は、どちらかと言えば「リストラ候補に挙ってしまっても仕方の無い仕事っぷり」と評される人が多いのもまた事実ではないでしょうか。

自分が「2回目のリストラ、そして40歳を前にして」で書いた2回目のリストラでは、自ら希望退職に応じたのではなく、役員から退職勧告されたと思われる人たちは、それまでの仕事っぷりが残念な人たちばかりでした。

もし自分自身が残念な人である事を冷静に判断出来るのであれば、これをきっかけに失職してしまうリスクを回避する事に最大限の努力を払うべきと思います。


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